トップページ原爆の絵被服支廠で治療を受ける。翌朝大きな穴で遺体が火葬されるのをただぼう然とながめた。
識別コード | NG280-03 |
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絵の内容 | 被服支廠で治療を受ける。翌朝大きな穴で遺体が火葬されるのをただぼう然とながめた。 |
作者名(カナ) | 大西 比呂志(オオニシ ヒロシ) |
作者名(英語) | Hiroshi Onishi |
当時の年齢 | 12歳 |
寄贈者名 | |
種別 | 市民が描いた原爆の絵(平成14年収集) |
情景日時 | 1945/8/6 |
情景場所 | 広島陸軍被服支廠 |
情景場所旧町名 | 出汐町 |
情景場所現町名 | 出汐二丁目 |
爆心地からの距離 | 2,670m |
ブロック別 | 皆実・宇品地区 |
作者による説明 | **絵の中 陸軍被服支廠の火葬 陸軍被服支廠に逃げ込んだ被爆者は その日の内に何十体となく遺体となり 運動場に掘った穴が急場の火葬場となった。 陸軍の兵士が松根油をまき日中に 連日紅蓮の焔があがり黒焔が めらめらと燃え盛った。**別紙 (三) 陸軍被服支廠 気がつくと大きな倉庫が並んでいる軍の施設のような所に着いた。入口の外におかれた机と椅子に陸軍の兵士が座っていて受付があった。ノートと鉛筆で住所氏名を書かせられる。 あとで判ったが、そこは陸軍被服支廠であった。中に入るとガランと広い倉庫の板の間に何十人もの人がごろごろと寝ころんで、ただ「うーん・うーん」といううめき声が室内に不気味にこだまするだけである。その間を軍の看護婦さんが私に毛布二枚を呉れる。 足の踏み場もないような所にやっと一人横になり、毛布一枚を板の間の上に敷き一枚は枕とする。 又看護婦さんが二人来て、私を起こして頭と顔の出血を拭い、赤チンをつけてくれる。頭に二重三重に包帯を巻かれる。眼と口だけが開いた状態となる。腕と足も切り傷と打撲で手当てされる。頭にささっている無数のガラスのかけらをいくつか抜いてもらう。何を考える力もなくただ呆然として毛布の上に横になる。 隣りで全身大やけどで全裸に近い体格の大きな男の人が「うーん・うーん」と寝たきりでうなっている。周りには殆どやけどばかりの老若男女が次々に入って来て皆寝ころんでしまう。広い講堂のような倉庫の床もほとんど新しい寝場所がなく、丸太のようなやけどの物体の間を二人の看護婦さんが赤チンと包帯を持って甲斐甲斐しく廻っている。 頭、顔、腕に包帯を巻かれた私は思考力を停止したまま、半死半生の人達の間で横になっているうち、夕方がきて夜になった。 数センチも離れていない隣りの小父さんが「うーん・うーん」といっている声もそのうち無くなり、振り向けば物いわぬ一個の物体となってしまった。見ると裸の胸や腕が割れて、そこに一センチくらいの白い蛆虫が無数にむらがってうごめいている。時間の経過とともにそこここで何人もの人が息を引きとっていく。 寝ているのか起きているのか判らぬまま一夜が明けるのが早く、早朝から数名の陸軍の兵士が全裸半裸の遺体を次々と運動場に運び出していく。 外に出て見ると運動場の二ヶ所に直径一〇メートル近い穴が掘られて次次と遺体が投げ込まれている。当時松の根から採取した軍の燃料となった松根油の入ったドラム缶を兵士が二人横にかたむけて穴の中の遺体にそそいでいる。やがてたいまつの様な火種をかかげて点火、ぐずぐずとくすぶりながら黒焔があがり続けていく。白昼炎天の下で急場の火葬場となるさまをただ呆然と眺めているばかりであった。 |
サイズ(cm) | 21×29.6 |
展示の説明文 |